WILDERNESSへの渇望。
WILDERNESS エイ出版 |
かくいう僕も、妻、子供をもつ家庭人であり、社会人である訳で、自由に時間が取れる立場ではない。もし、時間がとれたとしても、当然の事ながら国内外問わず、ホイホイと旅に出掛けられる金銭的な余裕もない。
そこで、旅に出られない日々のストレスを手軽に解消するために、ときどきアウトドア系のムック本を書店でまとめ買いする。
そんな中に、この『WILDERNESS』もあった。
特集の見出しに 【心揺さぶる風景へ。】 とある。
僕は普段、この手のムック本を手に取ると、最初に小さな文字を読み飛ばし、写真や見出しをざっと眺めながらパラパラと最後まで目を通し、それからページの前後にかかわらずに、気になる特集から読み込んでいく。
しかし、このムックでは巻頭から、いつも海旅でお世話になっているグランストリームの大瀬さんのCanada Haida Gwaiiを息子さんと旅した時のコラムから始まっており、いきなり本書に引き込まれた。
ページをめくるたびに広がる広大な風景。
いつかは行きたいと想いを馳せる、北米の荒野や、北欧の大地が広がっている。
すっかり時間を忘れ、飲めないバーボンをチビチビとやりながら、心は未だ見ぬ世界のバックカントリーを漂いはじめる。
推理小説などで時々みかける、アームチェアディティクティブ【armchair detective】。 書斎の肘掛け椅子に座ったまま情報を分析し、居ながらにして難しい事件を解決してしまう探偵をさす言葉だが、僕の場合はアームチェアウィルダネス。
目をつむれば、広大な青空の下で、生きるために必要な一切の荷物をバックパックに詰め込んで、不安げに歩を進める僕が目に浮かぶ。