阿蘇ツーリング 2015 秋
『ガタンガタン。』
さんふらわあフェリーが接岸され、岸へと渡されたスロープをソロリと進むと、僕はオートバイでは初めて上陸する九州の地、大分港に降り立った。
西の聖地の一つである阿蘇を訪れるため、神戸からフェリーに揺られ、仲間と共に訪れた九州。
日程の都合で、行き帰りのフェリーで2泊、現地0泊の弾丸ツアーとなるため、九州での自由時間は10時間。朝8:00から走り始め、夜の18:00には再び乗船手続きをしなければならないという、何とも慌ただしい行程にはなるが、限られた時間を最大限有効に活用するため、早速、走り出す。
大分自動車道を湯布院に向け流れに乗ると、明らかに普段見る景色とは違う。
左手に見える山には高い木が見当たらず、背の低い灌木帯が山肌を覆い、右手には周防灘に朝陽が輝いている。
いきなりの九州の嬉しい洗礼に、沸々と湧き上がる喜びで、期せずして笑いが込み上げてくる。
湯布院ICを下りると、九州屈指のワインディングであるやまなみハイウェイ。ここから熊本の阿蘇に至る道は絶景天国が延々と続く。
樹林帯は紅葉が始まり、色付いた落葉樹が朝陽にきらめき、落ち葉の舞うのカーテンを抜けると見渡す限りの平原が現れる。
唖然とする光景に、あんぐりしっ放し。
さらに阿蘇の外輪山つたいに伸びるミルクロードにさしかかると、その絶景具合はもう僕の拙い文章力では表現できないレベルの超絶さでもって、心に直接響いてくる。
南北25km、東西18kmにわたる世界屈指のカルデラの中心に阿蘇五岳がそびえ、カルデラの縁からザックリ切り落とされた断崖の壁がグルリと見渡せる大観峰の展望台からの眺めを形容する言葉が見当たらない。
牧草地には、草を巨大なタイヤの様に丸めた牧草ロールが至る所に転がり、どこまでも続く地平線の中の一本の道を、愛するオートバイで駆け抜ける喜び。こんな幸福感、なかなか日常では味わえない。
途中、ここ数年の阿蘇の新たな観光地となったラピュタの道にも当然立ち寄る。
残念な事に、車両通行止めとなっていたのだが、それでも阿蘇を望むカルデラの淵から、つづら折れのカーブを伴い、カルデラの底に向かって落ちていく道は、下から登ってくれば、本当に空へと続いている様に感じることだろう。
ラピュタの道を後にし、カルデラの底部に下りると、阿蘇五岳をグルリと回る国道をゆっくりと走る。見上げれば、つい先日噴火したばかりの火口から、今だに蒸気が立ち昇り風にたなびいている。
愛車エフロクのトップケースには、薄っすらと白い粉が覆い、少しして、これが火山灰である事に気づいた。
R325とR265の分岐を少し南下すると、古びた集落の外れにひっそりとある、隠れ家的な雰囲気を持つ『山見茶屋』という料理屋にて、少し遅い昼食をとる。
ここの『もみじ定食』が、大袈裟ではなく、とんでもなく美味い!
石焼きの馬肉に、とろける馬刺し、味噌田楽に、高菜飯に、ヤマメの塩焼き。
どれを取っても、掛け値無しに美味い♪
あ〜、思い出しただけで、涎が・・・ε-(´∀`; )
色々寄り道したせいもあって、時間がそろそろ気になり始める。
地元の精肉店にて、特選馬刺しを自宅に送り、ここからは一路、大分港まで一気に走り切ると、楽しかった阿蘇ツーリングが幕を閉じる事になる。
ずっと行きたかった九州。走ってみたかった、やまなみハイウェイやミルクロード。
どうせ九州に行くなら、十分な日程を確保して、舐める様に九州を走ってやろうと色々計画を練っては、思った様に休みが取れず、すっかり諦め、先延ばしにし続けていた九州。
今回、滞在はたったの10時間。行く前は、時間的な不安も不満もあった今回の阿蘇ツーリングだったけど、実際は、いわずもがな、素晴らしい旅となった。
いい仲間と、愛するエフロクと、特別な阿蘇の景色。これ以上、一体何を求めるというのだ。
石川〜神戸の300kmを走り、さらにフェリーを使ってはるばる九州に上陸し、数時間後にトンボ帰り。現地で250kmを走るためだけに費やす時間と労力だけを考えると、行けない理由はいくらでも作れる。やらない言い訳はどれだけでも出来る。でも、やっぱり、一歩踏み出す勇気と決断と行動こそが、道を開く。
思い切って勢いに任せて押さえたフェリーのチケット。 その先に出会った、雄大な阿蘇での、何にも代えがたい体験。
行って良かった。心底、そう思えた今回の旅だった。
まだまだ、日本各地には、驚きの風景や、絶景が、僕の訪れを待っている。
さて、次はどこに行こうか。
僕の旅は、まだまだ続く・・・♪
最後に、今回、急な声かけに付き合ってくれた、けんちゃん、藤もっちゃん、そして、僕のわがままな旅にもかかわらず、心良く送り出してくれたママちゃんに、
SPECIAL THANKS♪
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