雨、ときどき雨。
livedoorblog『雨、ときどき雨。』2006/11/09より転載
「頑張るね~、この雨の中・・・。」
雨の日に旅をしているとよくこう言われる。
それはスタンドの兄ちゃんや、コンビニのおばさんや、時には信号待ちで隣に止まった車のおじさんだったりする。とにかく雨の日にオートバイに荷物満載で走っていると好奇な目で見られることは間違いない。
確かにハタから見ると物好きなおバカさんと思われるだろう。実際僕は雨の日よりも晴れた日に走るほうが当然好きだ。
でもそれが旅の最中だと案外苦にならなかったりするから不思議だ。それはある意味、どうにも出来ないライダーの諦めでもあるのかもしれないが、雨の日はそれはそれで楽しかったりするのだから、我が事ながら多少呆れる。
夏の日差しで焼けたアスファルトが雨で冷やされる時の匂い。
雨の壁が遠くから僕の方にすごい速さで向かって来る時のワクワク感。
分厚い雨雲を割って大地を照らす光の柱や、そこに現れる巨大な虹。
雨の日だからこそ出会える素晴らしい瞬間だ。そういう雨の日の醍醐味を知っているからこそ、旅先の雨は嫌いじゃないのかもしれない。
それは、僕だけが例外ではなく、雨の中、荷物を満載にして走っているライダーは、それが例え日程の都合でやむをえない状況であったとしても、案外、今にも出会う素敵な瞬間を待っているのかもしれない。
2003年4月の中旬。その日は午前中から雲行きがはっきりせず、雨が振ったり止んだりの愚図ついた空模様だった。僕は奈良を昼過ぎに出発し、自宅(石川県)へ向けてひたすら北を目指していた。
それは、僕だけが例外ではなく、雨の中、荷物を満載にして走っているライダーは、それが例え日程の都合でやむをえない状況であったとしても、案外、今にも出会う素敵な瞬間を待っているのかもしれない。
2003年4月の中旬。その日は午前中から雲行きがはっきりせず、雨が振ったり止んだりの愚図ついた空模様だった。僕は奈良を昼過ぎに出発し、自宅(石川県)へ向けてひたすら北を目指していた。
滋賀県草津市を通過し琵琶湖を左手に見ながら走ってると、いい音を響かせたハーレーダビットソンとやたらすれ違う。そしてほとんどのライダーが手を上げて挨拶していくもんだから、十数台が連なる団体とすれ違う時は、延々と挨拶をし続けるハメになる。ともあれ、爽やかな旅人同士のすれ違いざまの挨拶に満足した僕は、愚図つく空模様にもめげず鼻歌も高々に帰路を楽しんでいた。
彦根を過ぎたあたりから次第に雨脚は強くなり、程なく本降りとなった。春の雨は思った以上に冷たく、ハンドルを握る指先からは容赦なく体温を奪い、クラッチ操作も辛くなってくる。
琵琶湖の湖北で給油の為に小さなガソリンスタンドに立ち寄った。そのスタンドにはハーレーダビットソンにまたがる先客がいた。見るからにイマドキな風体の華奢な感じの若者で、いかにも「ハーレーはファッションで乗ってます」っていう軽いノリを漂わせていた。
給油を待つ間、ふとハーレー男と目が合った。
「こんにちは!」
思いもよらず、ハツラツとした声で挨拶をしてきた彼に戸惑いながら、なんとか挨拶を返すことができた。
彼の話によると、なんでも今日はハーレー乗りが全国から集まる大きなイベントがあるらしくて、ずっと前から欲しかったハーレーをやっと手に入れて、今日はイベントデビューらしい。
どおりでやたらハーレーとすれ違うはずだ。
彼は、そうやって目をキラキラ輝かせて話をする間中、自分の愛車に付いた雨や汚れをタオルでせっせと拭っていた。彼にとってはそのイベントに参加することがこの上なく素敵な瞬間であり、他人の好奇の眼差しや意地悪く降りしきる冷たい春の雨は一向に気にならないようだ。
給油を終えた彼は清算を済ませると、自慢のVツインの1200ccエンジンを軽くひと吹かしして手を上げた。
「気をつけて!じゃあ。」
彼はそう一言言い残して南へ走り去っていった。
雨の日の忘れられないさわやかな思い出となって、今もその青年の笑顔が心に残っている。彼はまだあのハーレーダビットソンに乗ってるだろうか。
余談ではあるが、彼が走り去った後の話で今日の記事を締めくくろう。
南に走り去るハーレーダビットソンの腹に響く排気音が遠ざかると、僕の横にそっと佇むサビとドロにまみれ、ろくに手入れもされない愛車250TRを改めて眺め、なんとも申し訳ない気持ちになった。
『なんか、ごめんな。』
そっとそうつぶやいて、ハーレーの彼に負けじと、雑巾で愛車に付いたドロ拭ってやろうとしたのだが、さらに汚れが広がり、みすぼらしさに磨きがかかった。
給油を終えた彼は清算を済ませると、自慢のVツインの1200ccエンジンを軽くひと吹かしして手を上げた。
「気をつけて!じゃあ。」
彼はそう一言言い残して南へ走り去っていった。
雨の日の忘れられないさわやかな思い出となって、今もその青年の笑顔が心に残っている。彼はまだあのハーレーダビットソンに乗ってるだろうか。
・・・
余談ではあるが、彼が走り去った後の話で今日の記事を締めくくろう。
南に走り去るハーレーダビットソンの腹に響く排気音が遠ざかると、僕の横にそっと佇むサビとドロにまみれ、ろくに手入れもされない愛車250TRを改めて眺め、なんとも申し訳ない気持ちになった。
『なんか、ごめんな。』
そっとそうつぶやいて、ハーレーの彼に負けじと、雑巾で愛車に付いたドロ拭ってやろうとしたのだが、さらに汚れが広がり、みすぼらしさに磨きがかかった。
まったく・・・、つくづく様にならない男である。
気を取り直してカワサキの単気筒250ccのエンジンを軽くひと吹かしすると、ポポポポポ・・・・と、まるでスーパーカブのような情けない排気音がこだまする。ちょっと迫力が物足りない気はするが、仕方がない。
気を取り直してカワサキの単気筒250ccのエンジンを軽くひと吹かしすると、ポポポポポ・・・・と、まるでスーパーカブのような情けない排気音がこだまする。ちょっと迫力が物足りない気はするが、仕方がない。
気合一発「気持ちはハーレー!」と、降りしきる雨の中に飛び出した。
とはいえ、春の雨は容赦なく僕の体温を奪い去り、ヘルメットの中は、拭ううことを諦めた垂れ流しの鼻水でひどい有様だった。
ぶっちゃけ、オートバイ乗るなら晴れがイイよね♪
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