道迷いの恐怖
こ…怖かった(泣)
先日訪れた高島トレイル。ずっと歩きたかった道だっただけに、そりゃもうウキウキで歩いておりました。高島トレイル12マウンテンズのうちの2座と、小ピークを含め5座の頂を踏んで意気揚々と下山中(いや、疲れ果ててフラフラと下山中)の事でした。
トレイル上にはところどころ小川が流れ、流れ下ったその細くチョロチョロとした湧き水があの大きな琵琶湖を満たし、瀬田川、宇治川、淀川を経ていずれ大阪湾から太平洋へと流れ着くんだよな…。うん、大いなる循環だ♪
ってな具合に自然の偉大さを感じつつ、道端で小休止をとった僕は、残すところ1時間と少しとなった下山路を歩きはじめようとしてあたりを見渡した。
小川の向こうにルートを示すピンクテープを見つけた僕は、なんの躊躇いもなくその小石に乗りながらリズム良く浅い川を渡り、ピンクテープが示す道を進もうとして、ふと違和感を覚えた。
『なんだかテープの数が多くないか?』
さらにそのテープが指し示す先には獣道のような細く頼りない道とも言えない通路の上に、枝がせり出して行く手を阻んでいる。
絶対にこっちは違うと判断した僕は引き返しながらあたりを見渡すと、少し先にピンクテープが一本枝に結ばれている。危険を回避できた安堵感に胸をなでおろしながら、テープが指し示す方向に歩みを進めると、古いロープが垂らされたかなり急な斜面に阻まれた。ただ、登山道にはよくある鎖場的な場所だったので、それ程不自然さは感じずにロープを掴み、その急峻な道をよじ登る。
ただ、この激坂を足場を探しながら登っている最中、僕の中に引っかかっていた違和感が2点あった。
1つ目は、YAMAPが示すルートから外れていること。ただ、YAMAPの地図上に誰かがコメントを残してくれていて、そこには『道がくずれて狭くなっています』との書き込みがあったこともあり、確かにかなり狭いし崩れている感じだし、途中大木が倒れて道を塞いでるけど、これはコメント内容と合っているので大丈夫かな?と自分を納得させた。
そして引っかかった2つ目は、その急坂を登りきった先に鉄塔があり、その前に貼られたロープで行き止まりになっていること。
「はて・・・どうなってるん?」
行き場を失った僕は途方にくれた。
時刻は15時半をまわり、東斜面に位置するこの場所は西側よりも早く稜線に夕日が沈む。いま登ってきた急でガレた道を這い降りようかと戻りかけた時、僕の視線の端にピンクテープが見えた。そしてよく見ると、無数のピンクテープがくくりつけられている。
今思い返すと、怪しすぎて絶対に近寄らない場所なんだけど、その時はどちらかというと進むべき道を見つけた喜びの方が勝ってしまっていた。
疲労からくる足腰の痛みと、刻一刻と夕暮れが迫ってくる焦りから、大きな判断ミスしているのに、その時は全く気づきもせずにピンクテープが七夕の笹のように盛大に結ばれて、明らかに危険を知らせてくれているハズのその道を、あろうことか進んでしまった。
最初こそ、なんとなく人が歩いた形跡らしきものがあった気がしたが、少し斜面を下るように進んでいくと斜度がすこしずつ増していき、最後にはなにかに捕まらないと立ち止まることもできない状況になっていた。
いやいやいやいや・・・これヤバくないかぃ?(汗)
片手で枝にしがみつきながら、空いた片手でYAMAPの地図を確認すると、この急坂を下った先にルートが示されている。
『迷った時は確実なルートまで引き返す』
が鉄則なのは分かってるんだけど、既に簡単には引き返せない斜度となっている上に、地図上ではこの斜面さえ降りてしまえばルートに復帰できることになっているので、慎重に三点確保を意識しながらゆっくりと斜面を降る。
背中にはひんやりとした嫌な汗でシャツが張り付き、やたらと口が乾く。
慎重に、慎重に、斜度を増してゆく斜面を、枝や草にしがみつきながら下った先、木々の隙間にちらりと登山道が見えた!
ヨシ!何とかなるっ!!
と思ったのもつかの間、今僕がいる斜面と登山道の間は崖状になっていて、その下には先程越えてきた川が流れている。
飛び降りれなくもないが、もし着地で足をくじいたら・・・(泣)
ここでやっと冷静さを取り戻した僕は、目の前の道の誘惑を振り切って、今苦労して下ってきた斜面を必死に登り返して正規のルートに復帰することができた。
ただ、振り返って今思い返してみると、もし迷ったタイミングでガスにまかれてたら・・・。もしあの小川に飛び降りて怪我でもしていたら・・・。もしあの斜面で足を滑らせて滑落していたら・・・。
もし・・・。
もし・・・。
もし・・・。
こえぇ~!!!( TДT)
結果的には迷っていた時間はわずか15分程度。(体感的には1時間くらいの気がします)
途中で理性を回復して下山路に無事復帰できたので事なきを得ましたが、『初心者の登山あるある~』って気楽に笑える事でもないので、お恥ずかしながら情報を共有させていただきます。
『迷ったら戻る!! 遠回りでも戻る!!!』
心に刻んでこれからも山を旅したいと思います。
長文になりましたが、皆さんも安全第一に楽しい山ライフを送ってください♪
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