雪山におけるボトム問題。
一歩づつ、ギュッ、ギュッ、っと鳴る新雪。誰かが真っ白に輝く雪原につけた一本のトレースを踏みしめながら僕は、雪に反射する眩しい朝日に目を細め、遥かなる頂きを仰ぎ見た。
・・・なんてクールな山歩きは、ヘタレな僕には一切縁がない(汗)
「ゼェ~ゼェ~・・・フンガァ~・・・ゲホゲホッ!!
マジか、まだ山頂に付かないんかぃ!!
死ぬ・・・このままではしんどくて死ぬっ!!」
なんていう愚痴や泣き言や、ここではとても書けないような暴言を撒き散らしながら、両足を引きずりトボトボと歩くのが関の山。10歩歩いては立ち止まり、また10歩歩いては両手を膝に付いてうなだれながら、呼吸を整えるという醜態を晒すことになるわけだ。
あっという間に体力を奪われる僕は、事あるごとに座り込んで休憩を取りたくなるんだけど、そこで問題になるのが辺り一面に降り積もった雪だ。
もちろんサーマレストZシートのようなウレタンの座布団を敷けばいいわけなんだけど、なんせ虚弱な僕は頻繁に休憩を取りたくなるわけで、そのつど座布団を出すのは極めて邪魔くさい。
とはいえ、晴れ予報の1000mに満たない低山を登る場合、厳冬期用のハードシェルを履くのもなんだか気恥ずかしく、レインウェアだとムレムレになりそうで、結局3シーズン用のトレッキングパンツとゲイターで歩くんだけど、当然トレッキングパンツは防水ではない訳で、座布団を出しては仕舞い、出しては仕舞いを繰り返す。
そのうち邪魔くさくなって、そのまま雪の上に座り込みはじめ、じんわりとズボンを通して染み込んでくるヒンヤリとした冷水に打ちのめされる事になる。
この季節にしか味わえない雪に覆われた山々の美しい風景と、お尻がベチョベチョになる不快感に板挟みになるジレンマ。どうにかならないものか・・・。
っと、年の瀬の激務の間隙(というほど忙しくもないけど)を突いて、ネットをググりまくる。そうやって張り巡らした僕のセンサーに、ミレーの『ティフォン50000ウォームストレッチトレックパンツ』なるものが引っかかってきた。
調べれば調べるほど、僕が今欲している機能を完全に満たしている。耐水圧20,000mm/透湿性50,000gをほこり、しかもストレッチ性も良い、まさに僕が求めていたパンツそのままじゃないか! これは素晴らしいアイテムに巡り合ったんではないだろうか・・・っと、年の瀬の激務の間隙(忙しいフリをしたいだけ)を狙って好日山荘に突撃した。
数ある商品には目もくれず、早速僕が目をつけていたミレーのパンツを手にとって、おもむろに試着室のドアを開け滑り込むと、鼻息荒くズボンを脱ぎ散らかしてミレーのパンツに足を通す・・・足を通す・・・足を・・・あれ?これって、本当にサイズ合ってる?
具体的にサイズを言うには憚られるが、確実に僕のサイズを示す【○L】との表記がタグにある。万が一の場合には弁償もいとわない決意で生地を引き裂かんばかりに引き伸ばしてなんとか履くことはできたが、最大級にストレッチしたベルトまわりに小指の先すら入る余地もない・・・(泣)
そういえば、夏に買ったミレーのウインドシェルも胴回りのあまりのキツさに、一度着ただけでお役御免となったし、通気性抜群のサーマルメッシュライナーという最新型フリースも、微妙な腹回りのつっぱりから、ゆるゆるベストとの同時着用を余儀なくされている・・・。
どうやらフランスの名門ミレーは、僕のようなゆるふわ樽型体型の人を客とは認識していないようだ。
大いなる悲しみを背負い好日山荘を後にした僕は、純日本人体型に優しく寄り添うモンベルに思いを馳せるのだった・・・。
誰か・・・雪山登山のボトムに関するいい情報をお持ちの方がいましたら、是非教えて下さい。できれば、ゆるふわ樽型体型ベースでお願いします・・・ぐはっ!
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