立山連峰制覇…なるか?!
静かなオフィスにマウスのクリック音とキーボードを弾く音が響く。時折、静寂を割って鳴り響く電話のベルに、落ち着いて対応するスタッフの声を聞きながら、その部屋の一角で僕は、まるで落ち着かない時を過ごしている。
モニターには、週明けにクライアントに提出しなければならないデータが映し出され、空白のセルを埋めるべく資料と格闘してはいるが、遅々として進まない進捗具合に、半ば諦め気分で椅子の背もたれに身体を預けて天井を眺め、僕は呟く。
「いよいよ、剱岳か・・・。」
その瞬間に、背筋にゾワリと恐怖が走り、さらに仕事どころではなくなる訳だ。
今週末の予定が突然キャンセルになり、ポッカリと空いたカレンダー。iphoneにメモしてある【今年登るリスト】を上から順に指でなぞり、ふと止まった指先。そこに書かれた『剱岳』の文字に戦慄する僕。
今年のはじめに何気なく思い描いた立山連峰制覇への思い。既に足跡を残している立山三峰や浄土山、龍王岳に加え、今月、大日三山の縦走を終わらせており、薬師岳までの稜線も先日歩いてきた僕にとって、立山連峰の主だった山で残すのは別山と剱岳のみ。そして、何を隠そう…8/26は僕の誕生日ときている。
これってうまくいけば、バースデー剱になっちゃうじゃないか。
とはいえ・・・あ~、嫌だ。
あの悪名高いカニのタテバイ・ヨコバイを通るのも嫌だし、早朝の真っ暗な中を歩くのも、狭いテントで寝るのも気が重い。エアコンが効いた快適な自宅で、ママちゃんの作った美味しいご飯を食べ、アコギをかき鳴らしで娘と熱唱し、シャワーを浴びてフカフカのベットに潜り込む生活を、僕は心から愛している。
なのに…気がつけば、アルペンルートの室堂行き往復チケットを予約しちゃってる僕がいる訳で。仕方がないので、とりあえずは明日、剱沢までは向かいます。その先は天気と気分任せということで。
ホントに…やれるのかぃ? やれないのかぃ? どっちなんだぃ?!
い・い・か・ら・仕・事・し・ろ!!(ΦωΦ)
【注】文中、まるで仕事中にこっそり日記を書いている様な表現がありますが、あくまでフィクションですのであしからず・・・💦
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